昨今、オメガ3脂肪酸という成分が畜産業界(牛の繁殖~育成~肥育飼料)で注目されていますね。
谷口商会でも「太陽油脂」さんの「サンニード50」という商品の販売を開始しており、使用している一環農家さん、開発に携わった獣医師さんからの話も聞けたので、特徴や販売価格について詳しく紹介しようと思います。
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サンニード50の特徴・メリット
サンニード50の特徴・メリットとしては、次のような要素が挙げられます。
- バイパス油脂なのでルーメン細菌叢への影響が少ない
- 牛への効率的なエネルギー補給
- 増体(育成牛~肥育牛)
- 味と香りへの効果
- メタンガス排出削減によるブランディング
牛用のバイパス油脂の製品は他にもありますが、「サンニード50」の最大の特徴はオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を多く含むことで実現した上記のような相乗効果です。
それぞれ詳しく解説します。
バイパス油脂なのでルーメン細菌叢への影響が少ない
サンニード50はアマニ油由来のバイパス油脂(脂肪酸カルシウム)の添加剤として優れています。
そもそも「油脂」は即効性の高いエネルギー補給として最適な栄養素といわれています。
しかし牛の場合、実は油を摂取し過ぎるとルーメン内の細菌叢に悪影響を与えてしまうことに注意しなければなりません。
この、油脂は牛にとってプラス効果があるにもかかわらず、ルーメン細菌叢への影響がある、という課題を解決しているのがサンニード50の特徴です。
サンニード50の特徴である「バイパス油脂」は、脂肪酸(油脂)にカルシウムを結合させた「脂肪酸カルシウム」です。
脂肪酸カルシウムはルーメンをバイパスし、第4胃で脂肪酸とカルシウムに分解されてから小腸で吸収されます。
そのためサンニード50はルーメンへの悪影響を減らしつつ、油脂を摂取できるのです。
牛への効率的なエネルギー補給
必須脂肪酸「オメガ3脂肪酸」は牛の健康のためにはなくてはならない成分ですが、牛自らが自分で合成することはできません。
そのため積極的にエサにプラスしていくことが重要です。
サンニード50に含まれるアマニ油にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
増体(育成牛~肥育牛)
サンニード50はエネルギー補給源として優れているため、増体へのプラス効果も期待できます。
こちらはF1(交雑種去勢牛)の肥育でサンニード50を給与したときのデータです。
肥育後期の出荷前6か月間(20~26か月齢)にサンニード50を150g/日給与したことで、増体効果が見られます。
また、左側の図では、サンニード50を出荷前4か月間(20~24か月齢)給与したことで、肉の香りや奄美、繊維の滑らかさといった要素のプラス効果が見られます。
つづいて、下記は黒毛和牛の育成で、離乳後(3か月~10か月齢)でサンニード50を給与した時の増体についてまとめた表です。
サンニード50を給与したときの市場出荷体重が増えており、繁殖農家へのメリットが多いことが分かります。
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味と香りへの効果
サンニード50は牛肉の味・香りへの効果も期待されています。
牛肉の赤身はタンパク質、つまりアミノ酸が多く含まれ、うまみ成分につながります。
一方、牛肉の脂肪部分は脂質が多く、ここは甘い・うまい・しつこいなどの評価につながります。
釈迦に説法となってしまいますが、赤身と脂身のバランスで牛肉の旨味が決まるため、この部分を意識している肥育農家さんは多いのではないでしょうか。
サンニード50を短角和牛に200g×4か月間給与したときのデータが次の表です。
短角和牛 去勢 種雄牛同じ | 頭数 | 月齢 | 枝重(kg) | 試食評価 (5段階) |
---|---|---|---|---|
従来飼料+サンニード | 5 | 24.0 | 451.4 | 3.50 |
従来飼料 | 3 | 24.0 | 425.0 | 3.39 |
増体に加え、試食評価も高まっていることが分かります。試食評価では「クセが少なく食べやすい」「脂の風味が軽い」「風味に甘みが増している」といた声が聞かれました。
増体に加え、試食評価も高まっていることが分かります。試食評価では「クセが少なく食べやすい」「脂の風味が軽い」「風味に甘みが増している」といた声が聞かれました。
また、香り(香気成分)について集められたデータが次の表です。
筋間脂肪で差が大きく出た成分 | γデカラクトン (ガンマ デカラクトン) | γクロノトラクトン (ガンマ クロノトラクトン) | δドデカラクトン (デルタ ドデカラクトン) | δテトラデカラクトン (デルタ テトラデカラクトン) |
---|---|---|---|---|
香りの表現例 | 和牛香・ピーチなどの甘い香り | バターのコク | クリーム | 脂っぽさ・ファッティ・バター |
従来飼料+サンニード | 1069 | 1570 | 764 | 22554 |
従来飼料 | 441 | 3968 | 1042 | 31497 |
牛肉の香りに影響を与えるラクトン類に差が出ていることが分かります。ラクトン類は香りが強く、和牛香の一部も含まれていることが特徴です。「脂の甘い香りを増し、クセが少なく食べやすい牛肉」とするときには注目したい成分だといえるでしょう。
メタンガス排出削減によるブランディング
サンニード50に含まれる脂肪酸カルシウムは、牛から発生するメタン発生量を減らす効果も期待できます。
肥育牛の配合飼料にアマニ油由来の脂肪酸カルシウムを4%添加することにより、メタン発生量を乾物摂取量あたりで3~5%、増体あたりで14%程度削減することができる。また、増体、枝肉歩留、ロース中脂肪含量、共役リノール酸割合が増加する。
アマニ油脂肪酸カルシウムによる肥育牛からのメタン発生抑制|農研機構
あくまでも副産物的なメリットですが、自家産の牛肉をブランディングして販売している一貫農家さんなどでは、メタンガス排出削減によるSDGsでブランディングし、お肉へ付加価値をつけている例もあります。
サンニード50に含まれるオメガ3脂肪酸とは
ここで改めて、サンニード50に含まれる「オメガ3脂肪酸」について紹介します。
オメガ3脂肪酸は魚介類(DHA、EPA)やアマニ、エゴマ(α-リノレン酸)などに含まれる油脂成分のグループ名で、生命維持や健康には欠かせない必須脂肪酸です。
人間はもちろん、牛もオメガ3脂肪酸を体内合成できないため、日々の飼料で供給しなければなりません。
しかしオメガ3脂肪酸が含まれる植物は少ないため、意識的に給与する必要があります。
オメガ3脂肪酸は人への効果としても生活習慣病予防などで注目されていますが、牛に対しても次のような効果が期待されています。
- 免疫機構の向上
- 抗炎症
- 性ホルモン生産(繁殖)
※メーカーホームページ参照
脂肪酸カルシウムのメリット
つづいて脂肪酸カルシウムのメリットについても詳しく紹介します。
油脂は牛をはじめとする動物にとって重要な栄養素です。
しかし、液体の状態、冷えて個体となった油脂は、他の飼料と混ぜることが困難です。アマニ油のように酸化にデリケートな油脂もあるため、扱いが難しいのです。
しかしサンニード50はメーカー独自の技術を用いて、扱いやすいよう粒状になっており、さらに酸化にも強い脂肪酸カルシウムとして製造されています。
これによって脂肪酸カルシウムはルーメンをバイパスし、第4胃で脂肪酸とカルシウムに分解されてから小腸で吸収されます。ルーメン内の細菌叢に悪影響を与える可能性を減らしつつ、牛へ油脂を給与できる優れものがサンニード50というわけです。
※メーカーホームページ参照
サンニード50の給与方法
- 肥育(仕上げ):出荷前4か月~6か月:150g~200g/頭・日
- 子牛(育成):離乳~10か月:50g(30g~100g)/頭・日
- 繁殖:分娩前1か月~妊娠鑑定:100g/頭・日
使用量・期間は他飼料・牛のコンディションに合わせて調整
サンニード50の販売価格
1袋20kg
1袋:14,664円/袋
5袋:63,720円/5袋|単価12,744円(税抜き)/袋(1日150g給与だとすると、95円/日)
税抜き
長野県は送料込み価格│それ以外の地域は送料別途
10袋以上のご注文などもお気軽にお問い合わせください。
宅急便・路線便など使用できる運送会社によって、送料は異なります。
路線便のほうが送料は安いですが、屋号など必要です。
お気軽にご相談ください。
サンニード50の仕様
飼料の種類 | 脂肪酸カルシウム (植物脂ケン化物、アマニ油ケン化物) |
製造メーカー | 太陽油脂株式会社 |
性状 | 褐色の粒状・粉状 |
荷姿 | アルミラミネート袋 20kg |
保管方法 | 40℃以下で、直射日光と湿気を避けて保存 |